2020.04.20更新

敷金・礼金ゼロで家主のリスクを抑える方法

前号では、あらゆる施策を講じても空室を埋めることができない時の手段として、「敷金、礼金ゼロ」の活用を紹介しました。

しかし、「敷金、礼金ゼロ」が原状回復や滞納のリスクを高めるのではと疑問を人も多いと思います。今回、「敷金、礼金ゼロ」で家主のリスクを抑える方法について解説します。

滞納保証と定期借家を組み合わせる

目的は家主の資産の最大化

「敷金、礼金ゼロ」は「原状回復工事費や家賃滞納リスクに対応できず、結局は家主負担の経費が必要になるのでは?」と疑問を持たれる人もいます。

サブリース会社の使命は「家主の資産の最大化」ですので、家主に金銭的負担を掛けるようでは意味がありません。これら家主のリスクは、滞納保証サービスと定期借家契約を組み合わせた「敷金、礼金ゼロ物件」を作ることで回避します。

定期借家契約とは、2003年3月に施行された定期借家法によって定められたものです。敷金や礼金といった初期費用や契約期間などの条件を家主側で自由に取り決めることができる代わりに、原則、契約期間の満了後、契約更新はできないという仕組みです。

 

敷金、礼金ゼロ、定期借家契約2年間のシミュレーション

必要経費のシミュレーション

「賃料7万5,000円、敷金賃料の2カ月、礼金賃料の2カ月」の部屋を「賃料7万7,000円、敷金ゼロ、礼金ゼロ、定期借家契約2年間」に変更した場合のシミュレーションを紹介します。

2年という短い入居期間であれば、従来の敷金、礼金を割り当てていた原状回復工事費は見積もりやすくなりますし、長期の入居と比較しても工事費が安価に収まることが多く、概算で3万5,000円としてみます。滞納保証料は各社で異なりますが、3万5,000円から4万円ほどになります。ここでは3万7,500円とします。それ以外に、この空室を埋めるための募集経費として家賃1カ月分、7万7,000円。合計14万9,500円が2年間(24カ月)でこの部屋にかかる必要経費になります。

つまり、必要経費を賄えれば、家主が経費を負担する必要な無くなりますから、敷金、礼金といった入居費用が不要になります。

「敷金、礼金ゼロ物件」は入居者には大きな魅力

家賃の値下げは最終手段

家主にとっては微々たる変化でも、入居する側にとっては条件が全く異なる条件と感じます。部屋を探す人が、以下の間取り、設備、ロケーションが同じ2つの条件のマンションを比較したらどう思うのでしょうか?

Aの物件は入居時に35万円掛かりますが、Bの物件は7万7,000円だけです。この金額の差は、部屋を借りる人にとっては大きく、費用面で大きな魅力になることは間違いないでしょう。

すでにお話ししている通り、家賃の値下げは家主の資産を目減りさせるので避けるべきです。ただ、多くの空室対策を講じそれでも現行の賃料ではどうしても空室を埋められない場合、最終手段として家賃の値下げをしなければなりませんが、ほんの少し工夫するだけで値下げ額を減らすこともできますし、アパート・マンションに付加価値を付けることもできるのです。