店頭に弊社(JPMC)の創業年次(2002年)に捕獲された天然大鰻が飼われていた。
私は家業の創業者・祖父譲りの鰻好きである。
思い返せばこのムシュランにも蒲焼・鰻重・鰻丼・鰻定食の
東西数々の名店が登場した。
蒲焼の調理法は大きく分けて二つ。
江戸前(関東)では背開きにさばいた生の鰻を、その大きさにかかわらず
一匹を半身ずつ串打ちして、蒸し器で蒸してから炭火でタレを繰り返しつけて
焼きを繰り返し、原則半身をそのままもしくは二つに切り分けて、
丼またはお重に盛り付ける。
仕上がりは“ふっくら”である。
関西では腹開きにさばいてから串打ちし、直接タレをつけながら焼き上げて、
後で二つまたは三つに切り分ける。仕上がりは“カリッ”としている。
ところが、この辻屋の焼き方は独特で、生の鰻をいきなり短冊状に切り分け、
串打ちした上に直焼にする。
その特徴ある焼き方の為か、切り口まで香ばしくチャコール仕上げ独特の
“カリカリ感”が強く感じられる。
また、170年間継ぎ足され使い続けられているのは、水飴を使った昔ながらのタレ。
甘過ぎることなく、焼き上がりにつやつやした光沢を伴っている。
教科書通りの「表面はパリッ」「中はふわっ」がきちんと味わえる。
鰻は今でこそ高級品だが、昔々は大衆向け。
作業員への大切な栄養補給源、精力源であった。
辻屋ではその昔のスタイルのままに鰻丼が提供されている。
普通の丼でも十分にご飯が盛られているので、大盛をご所望の方は
よくよく熟考されたし、メガを超えるアニメ盛である。
また、食べず嫌いの諸兄に万難を排し味わっていただきたいのが鯉の刺身。
臭みもえぐみもなく、清流を泳ぎ続けた鯉の身のしまり、鮮度、
滋養をぜひ味わっていただきたい。
刃物の町、関市に行かれた際にはぜひ辻屋へ。
辻屋
岐阜県関市本町5-14
TEL:0575-22-0220
営業時間:11:00~14:30 17:00~20:00
定休日:月曜日