2026.07.31

福岡県福岡市/うどん「博多やりうどん」

「福岡のうどんは柔わい」
そんな雑な括りも、よく聞く話である。
コシ至上主義の向きからすれば、物足りない。讃岐に慣れた舌には“優しすぎる”と。

そんな貴兄に朗報である。この一軒はただの“柔らかいうどん”ではない。
まず出汁。これがいい。決して主張は強くないが、芯がある。
「優しく美味しい」——そんな声が多いのも頷ける。
飲んだ後の胃にすっと染み込む、あの感じ。
派手さはないが、毎日でも付き合える設計だ。
麺もまた然り。表面はやわらかく、しかし芯にはわずかな弾力。
「つるっとして適度なコシ」博多うどんの“いいとこ取り”である。柔らかいだけでは終わらない。
名物の“槍”。長く伸びたごぼう天。
見た目の遊びかと思いきや、これが妙に理にかなう。
出汁を吸い、衣が崩れ、最後は一体化する。
最初と最後で味が変わる、ちょっとした仕掛けだ。
そして忘れてはならないのが、かしわ飯。
この店においては脇役ではない。
うどんと交互に口へ運ぶことで、食事が完成する。
九州の“日常の贅沢”がここにある。一方で量は控えめ、という声もある。
「男性には物足りないかも」だがそれもまた、この店の立ち位置を物語る。
腹を満たすというより、“整える一杯”。空港管内、回転、日常。
そのど真ん中にありながら、味はきちんと設計されている。
チェーンと侮るには、少々出来が良すぎる。
福岡のうどんは“柔らかい”のではない。“優しい”のである。
その解像度を一段上げてくれる一杯。
空港でエスカレーターで階上に上がる時間があれば、是非。

博多やりうどん別邸 空港店
福岡県福岡市博多区下臼井767-1 福岡空港国内線旅客ターミナルビル 3F

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